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佐野 利夫 三代目
サノ トシオ
TOSHIO SANO |
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江戸更紗 美弥好 |
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生年月日:1937年1月3日 |
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出身地:東京都 |
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血液型:O型 |
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好きな映画:昔の名画(浅草がにぎやかなときはよく行ったね) |
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好きな言葉・座右の銘:真面目にやること |
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好きな音楽:クラシック |
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■江戸更紗について教えてください。 |
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更紗(さらさ)という言葉自体は古くからあるものでね、元々はインド、ジャワ、ペルシャって地域から日本に伝わったって聞いてます。
型紙を使って刷毛で染めていく技法は歴史からしたら120、130年くらい。それ以前は手書きで直接描いてたらしいね。
江戸更紗は型紙を使って模様の輪郭を細い線で作っていくのが特徴なの。型紙は何十枚という単位で使っていくんだけど、その上から染料を含ませた鹿の毛で出来た刷毛で刷って染めていくんだね。他の地方のものに江戸更紗くらい細い線が使われているっていうのは聞いたことがないし、色味も鮮やかというより渋いのが大きな特徴だね。
いま、区内で更紗染めをやっているところはウチだけみたい。東京全体でみても5、6軒も残っているかどうかってとこかな。 |
■『美弥好』の歴史についてお聞かせください。 |
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おじいさんの代、大正のはじめ辺りからだから、創業してもう100年くらいは経つことになるんだよね。関東大震災と戦災を経てこの建物が出来たのが昭和26年(1951年)。以来そのまんまだから見た通りとてもキレイとは言えないよね(笑)。
でもね、古いからこそ良いところもあるんだよ。ここは下が土で土間になってるでしょ。場所によったらこれが板の間になったりコンクリートになってたりするんだけど、この仕事をする上ではこの土間が大事なの。要は湿気、なんだよね。型紙を濡らす工程では適度な湿り気がいい具合に作用するんだけど、それは下が土間だからこそだと思うんだよ。ま、ちょっと脇道に逸れちゃったけどさ(笑)。
俺で三代目になるんだけど、まだ学生の頃に「忙しいから手伝え」ってんで鉢を洗ったり染料を作ったりして見よう見真似で覚えていつのまにかここに居るっていう感じかな。その時分は仕事場がこの他にもうひとつあって職人さんも10人以上いたことがあんだけど、いまは俺とひとつ違いの弟の2人きりでやってる状態でね。まあ、もう年だからね、いつまで続くことやらわかんないよね(笑)。 |
■更紗染めの体験会についてお聞かせください。 |
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修学旅行シーズンには関西のほうから、それから1月、2月の時期には近郊の中学生が体験をしにくるよ。修学旅行生を受け入れるようになって20数年経つのかなあ。額絵っていって、絵になっているのを型紙で染めてもらうんだけど、みんな、上手にやって帰っていくね。
あと、更紗会ってね、近くから趣味で習いにくる人達がいるんだけど、もう長いことになりますね。30代の人もいれば50代、60代、70くらいの人もいるかな。やり始めるとはまっちゃうんだよ。ある程度わかってくれば自分で色を作って好きなようにやれるからさ。
刷毛を使うときは結構無心になれるんだよね。それは玄人だろうが素人だろうが一緒。作品を作るっていうよりその瞬間を求めてくる人が多いんじゃないかな。 |
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■伝統を守る意味について佐野さんの考えをお聞かせください。 |
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伝統を守る・・・うーん、盛んに言われていることだけどもね、これ、時代の流れでどうしても必要なもんだったら残っていくと思うんだよね。俺からしたって誰かに継いではもらいたいよ。ただね、無理矢理どうこうとまでは思わない。
俺自身はね、だらしがないんだけど(笑)、好き嫌いってことも考えず、忙しい忙しいでそのままここまできちゃったんだよね。もう50数年経つけど、ま、途中で辞めようなんて思わなかったから、実際、これが好きなんだろうね。好きなだけじゃ続けていくのは難しいんだろうけど、時代が求めるようになれば誰か出てくるんじゃないかな。 |
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■最後に地域の皆様へメッセージをお願い致します。 |
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京都の友禅だとかは染料をノリの中に入れて染めていくでしょ。出来上がりは鮮やかなんだけど、言ってみればその色しか出ないわけ。そこいくと、この江戸更紗ってのは刷毛で刷ってるから色に深みが出てくるんですよ。力加減によって色が微妙に変わってくるから同じものがないっていうのも魅力のひとつなのかなあ。
見学も体験もよくいらっしゃいますよ。まあ看板も出てないから来る時に迷っちゃうって人が多いみたいだけどね(笑)。
深みのある枯淡の味わいというのかな。見学でもいいし、催しものでもいんで、江戸更紗が持つ魅力により多くの人に触れてもらいたいなと思ってます。
※上記記事は2012.2に取材したものです。
情報時間の経過による変化などがございます事をご了承ください。 |
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